ヤミ金融被害と暴力団

闇金業者というのは,どういう人たちでしょうか。

闇金業は犯罪です(貸金業法第3条第1項,11条1項,47条2項)。
犯罪者は素性を明かしてくれません。被害者の多くも,業者が「自分で名乗っていた」名前しか知らず,誰だか分かりません。

警察も,弁護団も,闇金業者の組織の実態解明をしようと頑張っている(はず)なのですが,いまだに全容解明には至っていません。

でも,闇金業者の素性について,ヒントはあります。かつて,闇金グループが莫大な違法収益を得ていたという事件がありました(いわゆる五菱会事件。最高裁判所第三小法廷平成20年6月10日判決民集62巻6号1488頁)。
そして,この闇金グループも暴力団組織傘下にあったといわれています(警察庁「平成21年警察白書」)。
なるほど,ヤミ金融業は,わずかな元手で莫大な収益(=返済金)を集めることができますから,暴力団員にとってはおいしい事業といえるのでしょう。

今も暴力団がヤミ金融業を営んでいるのか,営んでいるとしてどこの暴力団が営んでいるのか。それは,少なくともこの原稿の執筆者は知りません。
ただ,平成20年から10年の間に,反社会的勢力が闇金から手を引き,反社会的勢力とはまったく関係のない「カタギ」がその「しのぎ」をもぎ取ったとは考えにくいと執筆者は考えています。少なくとも,闇金事業に今も反社会的勢力が何らかの関与はしている可能性を完全に否定することはできません。

また,反社会的勢力か否かを措いたとしても,借りた人が払った金はどこに行っているのでしょうか。少なくとも,闇金業者がその収益を確定申告しているはずがありません。出所のないお金として,脱税され,何らかの形で消えているのです。

そうだとすると,闇金からお金を借りて返すと,被害者の方がまわりまわって反社会的な組織に金を流している可能性があります。仮にこれが違ったとしても,少なくとも脱税の支援をしているとはいえるでしょう。反社会的勢力が資金を得て活動が活発になること・脱税のいずれも,世間にとって大変迷惑です。

ときどき,闇金業者から「借りたい客に貸して何が悪いんだ」と言われることがあります。また,被害者の方も,「借りて世話になったからどうしても返したい」と言われることもあります。しかし,闇金業は社会全体の迷惑だから,法律で犯罪にしています。「闇金業者と被害者がいいと言っているから許される」ということはないのですね。

弁護士 織田恭央

ヤミ金融事案の刑事裁判例

ヤミ金融は,貸金業法の無登録営業や出資法の金利規制に違反する違法行為であり,刑事罰もある犯罪行為です。

当弁護団でも多数のヤミ金融業者の刑事告発を行ってきました。

警視庁によれば,平成24年から平成27年にかけて毎年250人から300人が検挙されているようです。

しかし,検挙された後どうなったかは分かっていません。

刑事裁判の結果が報道されることはそれほどありませんし,裁判例の大部分は公刊物等に載ることもないからです。

それでも,裁判所のウェブサイトの判例検索を中心に,ヤミ金融の刑事裁判例を探してみたところ,何件か見つかりましたので,いくつか紹介します。

1、平成29年1月11日広島高裁岡山支部

貸金業法(無登録営業),出資法(高金利),組織的犯罪処罰法(犯罪収益の隠匿)違反の事案で懲役3年(執行猶予5年),罰金100万円。10年以上前に貸金業法違反等の前科あり。

2、平成22年8月5日福岡高裁

貸金業法(無登録営業)出資法(高金利),組織的犯罪処罰法(犯罪収益の隠匿)違反。懲役2年(実刑),罰金400万円。傷害罪で執行猶予中。

3、平成20年6月27日大阪地裁

出資法(高金利)違反。懲役1年10月(実刑)、罰金250万円。前科無し。
平成10年代以前に遡ればまだいくつかあるようですが,このくらいにしておきます。

これらの裁判例の刑を重いと見るか軽いと見るかは意見が分かれると思いますが,ヤミ金融が金儲けとして行われることからすれば,罰金はもっと高額でもいいのではないかと思います。

弁護士 川﨑慎一

ファクタリングを装ったヤミ金融について

事業者相手のやみ金融の手口に「ファクタリング」業者を装った手口が増えています。

「ファクタリング」とは、一般に他人が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収を行う金融サービスを指します。
ですから、通常は、売掛債権を買い取ったファクタリング業者は自ら回収を行うことになります。
したがって通常、売掛金債権の回収リスクなどはファクタリング業者が負うことになります。

しかし、「ファクタリング業者」を名乗るヤミ金融業者は、借り手の債権を出資法金利を超える高額な割引率で割り引いた金額で、借り手の売掛金債権をほぼ全額買い取るような形式の書類を作成し、借り手に金員を交付します(例えば150万円の売掛金債権を100万円で買い取る書類を作り100万円を交付します)。

そして、出資法の金利を超える金利を支払い続けている場合には、借り手は自ら取引先から売掛金債権を回収しつづける形になり、売掛金回収のリスクも借り手が負います。

ところが、借り手が支払いが滞ると自ら債権を買い取ったと称して売掛先から債権を回収します。

しかし、これは、本来のファクタリングではなく、明らかに出資法違反の貸付を脱法として行っているものです。

以前の車リースや家具リースと構造は変わりませんので、契約は公序良俗に違反し、無効と考えられます。

これまでの裁判例でも、出資法違反の貸付か否かについては、契約の形式にとらわれず、実質が重視されてきています。

このような業者の主張は出るところに出れば通用しないものです。警察の取り締まり強化が期待されます。

弁護士 長田 淳

ヤミ金でお困りの方

ヤミ金による強引な取り立て、嫌がらせに対応します。

ヤミ金融被害対策埼玉弁護団にお電話ください。
事務局スタッフが、相談に対応し、担当弁護士に繋ぎます。

弁護団事務局 電話:048-836-3466

場所:埼玉弁護士会館内

受付時間:平日10~12時、13~16時

ヤミ金融の270万円の請求を排除する完全勝利和解!

ヤミ金業者が270万円の請求をして訴訟を提起してきたのに対し、
当弁護団の団員が被害者の代理人として応訴した結果、
貸付が公序良俗違反であることなどを理由として、
債務不存在を確認する完全勝利和解で訴訟が終結しました。
(さいたま地方裁判所越谷支部平成29年(ワ)第816号事件)。』

弁護士 小林哲彦

ヤミ金でお困りの方

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受付時間:平日10~12時、13~16時